イントロダクション:ALFA シリーズデビュー
1998年、トライオンのバッグは、グラブレザーを使ったシンプルなビジネスバッグから始まりました。スムースレザーを丸々一枚使い、そこにはポケットなどがないスッキリしたドキュメントケース的なバッグは、はじまりを意味する「A」シリーズと名付けらました。それまでの重厚な革のビジネスバッグに比べ、スマートなだけでなく、扱いやすいサイズ感で、その実用性の高さも好評をいただきました。
「A」シリーズは、2018年に一度、そのラインアップを整理し、その性格を分かりやすく表現した「DOCUMENT(ドキュメント)」シリーズと改名しました。元々「A」シリーズというのは、まだトライオンのバッグ自体のラインアップが少ない頃、Aから始まって、Bシリーズ、Cシリーズと名付けていった時代の名残です。

改名の際に、DOCUMENTシリーズは革をリニューアルしています。一枚革を贅沢に使っていることが個性でもありながら、傷が付きやすいという意見もあり、革のコーティングを厚くして、傷や汚れが付きにくい仕様に変更したのです。その分、革の表情としてはフラットになりましたが、その頃は、傷などに強い革の方が求められていたということもありました。
近年、一枚革を大きく使ったシンプルなデザインや、薄マチ、マチなしのスリムなビジネスバッグを作るブランドも増え、DOCUMENTシリーズはそのシンプルさゆえに目立ちにくくなってしまいました。よく見れば、かなり特徴的なバッグなのですが、それが見えにくくなっていると感じたのです。

そこで、いま一度私たちの革やものづくりの原点に立ち返り、「ALFA(アルファ)」シリーズとしてリニューアルしました。シリーズの原点であるAシリーズの「A」は、アルファベット系文字の基盤となっているギリシャ文字で「アルファ」と読み、英語のALFAは、「始めの一歩」的な意味もあります。つまり、トライオンのビジネスバッグの原点回帰でもあり、新しい出発でもあるという意味を込めたネーミングなのです。
ALFAシリーズが大事にしていること
コロナ以降の働き方の変化は大きく、またセキュリティ意識の向上、スマホやタブレットの普及などもあって、ビジネスの必需品も多様化しています。今でこそ数多く普及している薄マチ、マチなしのビジネスバッグというのは、1998年当時はまだ革新的なアイテムで、だからこそ、多くの方に支持されてきました。その発想が、いち早く薄マチのビジネスマン向けバックパックの発売にも繋がりました。

Aシリーズが当初から持っていた、余計な装飾を省いた機能美というコンセプトは、今も多くのお客様に共感頂いています。その上で、改めてトライオンというブランドの個性を打ち出すなら、やはりグローブに使われている良質な革の質感ではないかと考えたのが、「ALFA」シリーズの始まりです。シンプルな革のビジネスバッグという基本的なコンセプトや革がメインとなるデザインは、従来のイメージのままです。それだけの完成度が原点のAシリーズにはあったと考えています。
一方で、ずっとDOCUMENTシリーズを愛用してくださっているお客様も大事にしたいと思いました。その両方の方に満足してもらうリニューアルを、というのが、今回の大きな目標でした。
新しい革の開発と細部のアップデート
革のリニューアルにあたって、最も考えたのは質感でした。ブランド初期から携わっているスタッフの一人が、Aシリーズの初期のA3サイズのモデルを今も愛用しているのですが、そのバッグは、中からオイルが染み出していい感じに艶がでていました。

今回、私たちが目指したのは、使い込むとそんな風に理想的なエイジングになる革です。その意味でも原点回帰なのですが、傷が付きやすい、汚れやすいといった声を無視して、ただ経年変化しやすいコーティングの無い革にするのも、日常的に使う革としては正解ではないと考えました。
トライオンには「ORIGIN(オリジン)」という、日本製の最高級グラブレザーを使い、天然素材の味わいをそのまま楽しんでいただくシリーズがあります。ただ、シンプルなビジネスバッグとしてのALFAシリーズに、そういう革が似合うかというと、そうとも言えません。革の主張が強過ぎると、せっかくのシンプルなデザインを邪魔してしまいます。そこで、ナチュラルな質感は損なわない程度に、コーティングを薄くするという方向で新たに開発したのが、今回の革です。

新品の状態では、もしかしたら、その違いは分かりにくいかも知れません。ただ、全体の雰囲気や、使い込んだ時の風合いの違いは、はっきり分かるはずです。一枚革をしっかり見せるシリーズだからこそ、革にこだわりたいのです。
デザイン面のアップデートで特徴的なのは、マチなしバッグのハンドルの形です。これまで、山形のハンドルのモデルと平形のハンドルのモデルが混在していたのですが、リニューアルを機に、握った時に手への負担が少ないハンドルを採用しています。

さらに、薄マチ、マチありバッグには内装にクッションとしてスポンジを入れました。元々、ノートPCやタブレットなどが登場する以前からあったモデルだったため、特に緩衝材などは入れていなかったのです。これも、時代に合わせたリニューアルと言えるでしょう。

このシリーズはAシリーズの時代から、裏側を縫ってからひっくり返すという“内縫い構造”で作られています。そのため表からは縫い目が見えず、革だけが見えるデザインが実現しています。そこにスポンジを入れるわけですから、ひっくり返すのには更に高度な技術が必要になります。それが可能になったのは、これまで膨大な数のAシリーズ、DOCUMENTシリーズを作って培った技術力の賜物と言えます。

新たなスタンダードとしてのALFAシリーズ
今や、重い荷物はバックパックを使うのが当たり前になった中、ALFAシリーズのマチなしや薄マチは、必要最小限のアイテムを軽快に持ち歩く大人のバッグとして、使って欲しいと考えています。バッグを床に置く必要がないので、カフェやシェアデスクなどの上に置いても不快感を与えない、今の働き方にこそ似合うバッグになっているのです。

また、TPOを選ばない、マットな質感の革は存在感がありながら、ファッションを邪魔しません。コンパクトなB5サイズから、13インチPC対応のA4サイズ、15インチPC対応のB4サイズに加え、トライオンのビジネスバッグに最初からラインアップされているA3ノビサイズまで、幅広い用途に対応するのも、このシリーズならではです。さらに薄マチのリュックや、マチが厚くショルダーストラップを付けた2WAYで大容量タイプなど、持ち歩きたいスタイルで選ぶこともできます。その全てが、革の質感で見せるシンプルなデザインですから、年齢、性別を問わず使っていただけます。
中の見通しがいい明るい色の内装に、マチ付きのポケットなど、これまでも好評だった部分はそのまま残しながら、仕事の様々なシチュエーションに対応できる新しいシリーズです。一見、シンプル過ぎるように見えるかも知れませんが、手にしていただければ、そこにあるバッグとしての高いポテンシャルを感じて頂けると思います。是非、一度、使ってみてください。