TRION NOTEブログ

2024-08-27
読みもの

【トライオンで働くヒト】トライフィルで活躍する大矢さん〈後編〉

【トライオンで働くヒト】トライフィルで活躍する大矢さん〈後編〉

普段は表に出ることのない「トライオンで働くヒト」にスポットを当て、お届けするシリーズ。#04は、フィリピンの自社工場、トライフィルのバッグ製造部門で働く大矢さんについてお届けしています。

前編では、大矢さんのフィリピンやトライフィルとの出会いについて。今回の後編では、トライオンで働く姿勢や今後の新しいチャレンジについて語ってもらいます。

>前編はこちら

フィリピンと日本を繋ぐ仕事を

入社当初は、技術指導をしていた五十嵐さん(五十嵐さんについてはこちら)の通訳を担当していました。前職での経験のおかげで、製造現場の流れや仕組みは理解していたので、バッグ作りの段取りもスムーズに把握できました。

通訳だけでは物足りなさを感じていた頃、大阪本社で材料手配を担当していた方が退職することになり、その業務を引き継ぐことになりました。これをきっかけに輸出入についても学ぶ機会を得ました。五十嵐さんは入社当初から「通訳だけじゃなく、いろんな仕事を経験した方が活躍できる場が増える」と言ってくださり、たくさんのチャンスを与えてくれました。フィリピン人マネージャーのジョイさんという素晴らしい上司にも恵まれ、本当に感謝しています。

その後、日本から送られてきた指示書をもとにサンプルバッグを作成する開発室(R&D)にも関わるようになりました。指示書を読み解き、型紙や構造を想像するのが好きなのは、建築士の父が描いた図面を見て育った影響だと思います。私の知識はまだ五十嵐さんやテクニカルエキスパートには及びませんが、デザイナーやお客様の「こんなバッグを作りたい」という思いを理解し、スタッフにそのイメージを伝えるよう努めています。OEMのお客様と直接やり取りできるのも、大きなやりがいの一つです。

10年目に入った今、五十嵐さんとジョイさんが描いた方針が現場のスタッフや工員さんに浸透していることを実感します。なぜこれをするのか、その目的を理解してもらうことが大切です。私が「工員さんには理解できないかも」と思っていたことも、五十嵐さんと一緒に毎日説明し、確認し、声をかけ続けることで、理解が深まっています。スタッフの成長やマインドの変化を見ることができ、自分がその一端を担えていることが一番の喜びです。

日本人として働くということ

職場では常に周りのフィリピン人の同僚たちの目を意識し、評価されているという気持ちを持つことです。彼らの給与レベルや生活水準、物価などを理解しているからこそ、彼らに尊敬されるような仕事をすることを大切にしています。

「日本人だから高給取りで当然」と思われるのではなく、「あれだけの仕事をしているから、それにふさわしい立場なんだ」と感じてもらえるような仕事や能力を身につけたいと思っています。フィリピンは「国民一億総バイリンガルないしトリリンガル」の国ですので、言語が堪能なだけでは不十分です。

工員さんやスタッフができない仕事をこなし、自分の役割にふさわしい働きをしていると自信を持てるように、常に勉強し、変化に対応できるよう努めています。

新しいチャレンジ

私たちのブランドは、TRIONやTOMOEの他に、フィリピンで採れるアバカやラタンなどの天然繊維と本革を組み合わせたレディースバッグブランド「ikot(イコット)」も展開しています。もともとは日本国内だけで販売していましたが、新たな試みとして、海外販売をスタートしました。

ikotのバスケットは、フィリピンで採れる材料を使い、フィリピンの人たちが手作りしている商品です。生産は工場内だけでなく、原材料の加工や手編みは地方の職人さんたちが担当しています。観光地のおみやげ品レベルだった「カゴ」を、トライフィルとトライオンが本革との融合や日本的な無駄のないシンプルなデザインを加えることで、レディースバッグとして生まれ変わらせたのがikotです。

故郷であるフィリピンでの販売、そして世界での展開を目指し、2023年10月にマニラで開催されたフィリピン製品の国際展示会「マニラフェイム」に出展しました。私もブースに立ち、初めて営業を経験しました。商品の良さを直接お客様に説明し、オーダーを取る営業の仕事は、今までとは異なる難しさがあり、新しい学びとなりました。 今までの業務を続けつつ、フィリピン発信でikotの販売を増やし、「フィリピン産」製品の認知を高めていきたいと思っています。

>ikot公式サイトはこちら

大矢さんファミリー

<番外編>子育てしやすい国フィリピン

私はフィリピンで結婚し、夫婦で3人の子どもを育てています。

日本の法制度は先進的ですが、フィリピンでは妊婦さんや子連れに対する人々の温かさがとても心地よいです。社会全体が子育てを歓迎し、それが大切な土台だと感じます。公共の場ではお腹が大きいだけで親切にされ、小さい子供がいれば知らない人も目を細めて手を貸してくれます。職場でも妊婦がいても当たり前で、産休や育休を取ることも自然なことです。

このような支援は日本でも当たり前ですが、フィリピンのようにさらに社会全体で感じることができる点は、駐在生活を送る日本人奥様たちからも「子育てしやすい環境」という声をお聞きします。


〈編集後記〉
フィリピンに腰を下ろし、家族と共に子育てと仕事を両立しながら生き生きと働く大矢さん。

2つの国の文化を理解し尊重しながら仕事を進める調整能力に、私たち大阪スタッフはいつも助けられ、一緒に働いていてこちらも前向きな気持ちにさせてくれます。

最初は通訳として採用されながらも新しい業務にチャレンジし続ける大矢さんの姿勢は、本人のやる気次第で新しい分野に挑戦させてくれる社風として、日本・フィリピンに関わらずしっかりと浸透しているんだなと感じました。これからも一緒に様々な取り組みに関わっていきたいと改めて思う今回の取材でした。

>前編はこちら