トライオンには、フィリピンにある自社工場トライフィル(TRI-PHIL)の他に、ベトナムにも野球グローブやアイスホッケー用グローブなど生産するトライベト(TRI-VIET)があります。バッグの素材となる野球グローブの残革の提供をはじめ、バッグとグローブ、同じモノづくり精神の繋がりがあります。メーカーとしてのモノづくりを支える生産現場から、その背景や現地の息づかいをお届けします。
生産地、ベトナム
東京から飛行機の直行便で5時間半、東南アジアの国、ベトナムに到着します。年間の平均気温は26度。領土は南北に細長いS字型で、美しい海岸線が続くビーチと、南部にメコン川がもたらす肥沃なメコンデルタ地域が広がる国です。
トライベトが位置するのは、南部メコンデルタの中心地、カントー。空港のあるホーチミンから、車で約3時間半ほどの場所にあります。
メコンデルタの肥沃な大地とメコン川などの豊かな水源に囲まれ、ベトナムの主食であるお米の約7割がこの地域で作られるなど、農業が盛んな地域でもあります。昔ながらのベトナムの生活を垣間見ることができる、水上マーケットも有名です。
カントーとのご縁
2007年、第二の自社工場としてトライベトは設立されました。
フィリピン工場に次ぐ、第二工場の場所を選定する中で、靴やアパレルなど縫製業がすでに盛んな場所だったベトナムが候補に上がりました。ですが産業の中心であるホーチミンでは、すでに人手不足などの問題がありました。
そんな中、新たな候補地として社長が訪れたのが南部の街、カントーでした。
カントーのある南部は、あたたかい気候やゆるやかな空気感など、どこかフィリピンと親和性がありました。
ただ当時は、周りを見渡せば田んぼだらけ、道はデコボコで川を渡る橋もなく、渡し船も1,2時間は待たないといけないような環境。ホーチミンから車で5,6時間かかり、日系企業も進出していない、まさに「こんなところに日本人」状態。
「この場所に本当に工場を建てられるのか?」と思案していた社長の背中を押したのは、「こういう所にこそ、花が咲く」と語った相談役の一声。その一言で決まりました。
結果として15年経ったいま、日系企業や日本人も増えました。メコンデルタ地域には1,700万人の豊富な人たちがいること、さらにカントー大学という地域で一番の大学があることもメリットとなりました。優秀なスタッフが多く入社し、今ではマネージャーとして第一線で活躍してくれています。
不便だった道路や橋も整備され、国際空港もできたりと、カントーの街もずいぶんと発展しました。
バッグとグローブ、同じ手仕事としての思い
トライベトでは、野球グローブをメインにアイスホッケー用グローブ、ボクシンググローブなどのODM生産を行っています。
私たちの作り出すバッグもグローブも、同じ革という天然の材料を使い、生産工程のほとんどを今でも手作業が占めています。
私たちの作り出す商品は、多くの人の手に触れ、人から人へ渡って初めてできるものです。人間が作るものは、結局は心が伴わないと良いものはできない。一人一人を尊重するモノづくりこそ、まさに私たちが掲げる「ピープルズ ビジネス」です。
私たちの生産現場であるフィリピン・ベトナムではこれからも、地域の人や文化、風習を大事にしながら、一人一人を尊重するモノづくりを大切に行っていきます。
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